那須野の旅人

那須を起点として各地の風物や生活ぶりを見つめます

改訂 源有綱の最後 (200字ショートショート 34)

  自宅のある那須塩原市は今回の茨城、栃木の大災害からは外れていますが被災した
  人たちを思うと無神経に喜べません。被災者には心からお見舞い申し上げます。
  明日以降は天気も回復しアウトドアでの記事の取材もできますが、山間部の通過もあり
  危険を伴うのでイン・ドアで以前アップした超短編を編集し直して載せてみました


              地元塩原温泉に残る鎌倉時代初期の伝承です
              心温かい村人たちの好意がアダとなった皮肉な話

■■■ 源有綱本文

  この伝承は史跡鍾乳洞「源三窟」として塩原温泉の観光スポットです
( 読み方は「げんざんくつ」といいます )

 この伝承について疑問点を2,3取り上げてみました。
先ず米についてですが 米の研ぎ汁が白く濁るほどの白米を食べるようになったのは一般に江戸時代
の明暦年間 (1655~1658年) 頃からだと言われています。 しかし、平安時代でも貴族の間では白
米に近いものを食べていたとの説もあります。 それはあくまでも 貴族であって庶民は玄米をそのまま
焼いたり蒸したりしていたそうです。 源有綱は義経に就いて戦っていましたが年齢も義経とほぼ同じで
保元・平治の乱で戦功があり平清盛に一時は信頼された源三位頼政を祖父に持つ良血ですから贅沢
な白米を食していたかもしれません。 しかし、 逃亡先の山里塩原に白米が存在したかといえば疑問で
塩原要害の城主塩原八郎家忠からの差し入れがあったとしても 一山奥の要害に精米技術が伝わって
いたとは考え難く、 この米の研ぎ汁に関する伝承は後世の創作とみるのが妥当ではないでしょうか。
史跡といっても伝説に近い話ですのでこうした粉飾例は他にも多く存在します。

又、かなり信頼性のおける史書である『吾妻鏡』等の記録では有綱は今の関西地方が活動の場であっ
たらしく、頼朝に追われた義経と別れた有綱は郎党と共に大和国宇陀郡に潜伏したが、  文治2年6月
16日、義経の残党を捜索していた北条時定の手勢に発見され、 合戦の末に敗北し深山に入って自害
したと記されていて、塩原に潜伏したことにはなっていません。どちらが真実なのでしょうか?

もうひとつの疑問は 洞窟を発見され頼朝の手の者(北条方)の襲撃にあった際に 戦いに敗れて自害し
たことになっています。どういうわけかこの種の伝承は最期に自害が多いのですが義経は別として有綱
の場合狭い洞内で不意撃ちを食らったのですから 『自害』 する暇はなかった筈です。 たとえ洞外に出
て戦っても、家来が何人いたか不明ですが自害には少々の時間を要するのが普通で、 激しい突発的
戦闘の中では無理と見て私は自害ではなく討ち死にとしました。

       <<<

尚、 源三窟という名前の由来は、 有綱の祖父源三位頼政(げんさんみよりまさ)の一族が都を逃がれ
塩原に辿り着いた時に立ち寄ったのがこの鍾乳洞で、当初は源三位穴と呼ばれましたがいつ頃からか
今の『源三窟』の名前に替わったようです。源有綱に関すわる人物相関図を下に掲示します

有綱の相関図
                                                     ネット、フリーサイトより引用

 源三窟の名の由来である源三位頼政は相関図の中ほどに見えます。三位というのは朝廷から賜った
官位であり頼政は上から4番目に高い従三位で中納言という身分ですが宇治での末路は哀れでした。

この時代は源頼朝が鎌倉幕府を開いてから円熟期に入って、 北条氏も頼朝の妻に政子を配したこと
もあり徐々に幕府内で勢力を強めていた頃で頼朝に協力して義経追討の先鋒を担っていたのである。
その北条氏の追っ手が山深い塩原にも及んだのであった


  1. 2015/09/10(木) 22:46:48|
  2. 未分類
  3. | コメント:5
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コメント

こんばんは~

松没栗さまのところは被害がなくて良かったですね
でも折角晴れたのに遠出は難しいとのことですね
実は私は今日から1泊で那須の方へ行く予定でしたが、取りやめになりました
本当に驚くばかりで災害は忘れたころにやってくるとは、本当のことですね

江戸時代に白米が普及し始め、その下平安時代には貴族の間にひそかに?白米が食べられていたとの話は有り得る事でしょう
そのとぎ汁が外に漏れて有綱は追手によって討ち死にしたのですね
そんな歴史のある塩原は北条氏の追手が攻めてきたのですね

京都の大きなお寺のある高台には、公家出身の方やその家に嫁いだ天皇家の方のお宅が多く
全く私たち庶民とは違う生活をしている方が多いので、昔は公家などは贅沢をしていたと思われます

  1. 2015/09/11(金) 19:48:49 |
  2. URL |
  3. 花ぐるま #-
  4. [ 編集 ]

花ぐるまさん

早々にコメントありがとうございます。
今日は久しぶりに朝から太陽の光に浴することができました。

お隣県の常総市ではまだ行方不明者が23名もあるとか、気の毒です。
自分の身に置き換えてみても、家族の死や家屋の被害etc.
どんなに悔しいか測りしれません。最近の極端な気象は怖いですね。
古い記事の蒸し返しで失礼しています。外に出るにも雨が多いので
記事も手軽なものに飛びつきました。
雨の間、暇に任せて編集し直していました。

源頼朝は一時は好きな武将でしたが、秀吉などと同様
権力を握ると人間が変わってしまった史実で嫌いになりました。
弟義経を讒言に惑わされ、勢力拡大を恐れて殺害するとは
戦乱の時代とは言え許しがたいですね。

この伝承は伝説的で、よく検証すると歴史の範疇には
入らないかもしれません。
しかし、義経腹心の部下であった有綱が頼朝の命により
北条氏の手の者に殺害されたのは吾妻鏡などにより史実ですが…
  1. 2015/09/12(土) 00:14:41 |
  2. URL |
  3. 松ぼっくり #-
  4. [ 編集 ]

源有綱の最後

こんにちわ~
台風17・18による水害の恐ろしさをテレビの映像を通して思い知らされました。
被害にあわれた方々の気持ちはいかばかりかと。。。
そのあと関東で震度5の地震もありました。
そして阿蘇山の噴火と次々に襲ってくる自然災害他人ごとではなくなりました。
日本列島はどうなるのでしょう。

久しぶりの200字ショート・ショート、塩原で最後を遂げた「源有綱の最後」は流れ出した米のとぎ汁で隠れ住んでいた場所が見つかり討ち死にしたということですが後記を読ませていただくと塩原に精米の技術が伝わっていたとは考えにくいこと、また、大和国宇陀郡に潜伏したが合戦の末に自害したということになっていたりと真実は分かりにくいのですね。
でも洞窟内で発見された有綱のものといわれる鎧・兜、本当に興味深いですね。

ありがとうございました。
  1. 2015/09/15(火) 15:22:03 |
  2. URL |
  3. magamik #-
  4. [ 編集 ]

magamik さん

被災地のみなさんには心よりお見舞い申し上げます。
今回の鬼怒川の堤防決壊に至るメカニズムは次のようです。

上流の鬼怒川温泉での降雨量は650ミリ、堤防が決壊した
下流の常総市では200ミリ程度ということでした。
鬼怒川周辺で降雨が0だったならば決壊には至らなかった
事でしょう。 鬼怒川温泉付近では50m下を鬼怒川が流ていて
600ミリ以上の降雨量でも 崖崩れはあっても鬼怒川が溢れる
事はありません。また、川自体渓流並みの急流です。

そうした鬼怒川の流れは下流に行くに従って各地の山から
流れ下った水が全て鬼怒川に流れ込み、決壊現場付近下流で
合流する 利根川に流れ込めない程の水量となって、市街地
より高い川に バックウォーター現象が起こり、まず堤防の
越水が始まり 水を含んで脆くなった堤防は市街地側が一気に
崩れたのです。 このような事態に輪をかけているのは
鬼怒川周辺の山々の主な林道が 殆どが舗装されていて、
雨水が地中に浸透せず川に直接流した為です。

4、5年前のショートショートの再編集で失礼しています。
この種の伝承がどのような経由で成立したかは不明です。
洞内で発見された武具の時代考証が行われ、鎌倉初期と
判明したかどうかは不明ですが、多分資料館の説明では
考証済となっているのでしょう。それが真実なら
大和国宇陀郡で自刃したという「吾妻鏡」の記載は
嘘になります。 吾妻鏡は信頼性の高い史書ですが…
塩原は近いのでその点を確認に近いうちに行ってみます。

コメント有難うございました。

  1. 2015/09/15(火) 19:37:26 |
  2. URL |
  3. 松ぼっくり #-
  4. [ 編集 ]

源有綱の最期&最後

「最期」は命が終わった事にのみ使われます。
「最後」は一般的な事の終わり全てに使われ、死の意味にも
使われるので間違いではありません。
  1. 2015/09/15(火) 23:22:14 |
  2. URL |
  3. 松ぼっくり #-
  4. [ 編集 ]

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